土地を売るか貸すか、どちらが得? 収益・コスト・リスク徹底比較

2025年3月19日 不動産売却基礎知識 任意売却

土地を「売るか」「貸すか」は、大きなお金が動くため慎重になりがちな問題です。

結論としては、多くの場合、土地を売ったほうが金銭的メリットが大きいとされています。

理由は、固定資産税などの維持コストを省けるうえ、まとまった資金を早期に確保できるから。

たとえば相場3,000万円の土地を売却すると、賃貸よりも短期間で大きな収益が見込めます。ただし、将来に自分や家族が土地を使う可能性がある人や、相続税を抑えたい人は「貸す」選択肢も検討に値します。

結局のところ、目的や状況次第で最適解は変わるのです。本記事では、土地を「売る」「貸す」両面のメリット・デメリットをわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

土地を「売る」か「貸す」か?(基本比較)

土地を持っていると、「このまま所有し続けて貸したほうがいいのか、それとも思い切って売却したほうが得なのか」という疑問が浮かんできます。

特に、将来その土地を自分で使う予定があるか、相続対策をどうするかなど、考えるべきポイントは多岐にわたります。

たとえば、固定資産税の負担や維持管理の手間といったコスト面だけでなく、地代収入や譲渡所得税、さらに借地借家法といった専門的な法律も関わってくるため、簡単に結論を出すのは難しいものです。

それでも「賃貸に出してコツコツ稼ぐのか、売却してまとまったお金を確保するのか」を決めるには、まず両方の選択肢をじっくり比較する必要があります。ここでは、土地を「売る」「貸す」両面から見た収益性やリスク、長所や短所を総合的に整理していきます。

大切なのは、「自分のライフプランや相続計画に合致しているかどうか」を念頭に置きながら検討することです。

どちらにもメリットとデメリットが存在するので、それらを丁寧に把握してから最終決定に踏み出しましょう。

土地を売るメリット

土地を売却する最大のメリットは、やはり「まとまった資金を一度に手に入れられる」点にあります。

大きな金額を確保できれば、他の投資や住宅ローンの完済、あるいは老後資金として活用することが可能です。また、土地を売ることで固定資産税や雑草・不法投棄などの維持コストからも解放されます。

所有中は毎年必ず税金がかかりますが、売却するとそれらの負担がゼロになるのは大きな魅力です。さらに、市街地や再開発エリアなど、土地の需要が高い地域であれば、高値での売却が期待できます。

特に周辺の路線価や鑑定評価が上昇傾向にあるエリアでは、時期を見極めて売ることで大きな利益を得られるかもしれません。

もし「親族間売買」の機会があるなら、身内同士で条件をすり合わせることも可能ですが、税務署からみなし贈与を疑われるケースもあるため、注意が必要です。

土地を売るデメリット

土地を売る場合に気をつけたいのが、主に税金と将来的な資産価値の変動。

売却によって生じた利益(譲渡所得)には、譲渡所得税がかかります。所有期間が5年以下なら短期譲渡所得扱いとなって税率が高くなり、思ったよりも手取りが少なくなることもあります。

さらに、「今後土地の値上がりが見込めるかもしれない」という可能性を手放すことにもなるため、将来的に地価が上昇したら「早まった売却だった」と後悔する場合もあるでしょう。

たとえば都心部や人気観光地では、インバウンド需要や大規模開発などの影響で値上がりするケースが多々あります。

売却すると得られるのは現金だけなので、そのあとの資産構成をどう考えるかは重要になります。

不動産買取マスターでの土地売却は簡単!

1 / 1

土地を貸すメリット

土地を貸すメリットは、安定した地代収入を長期的に確保できる点。

大きな利益こそ見込みにくいものの、特に固定資産税の評価を下げられるケースがあるため、相続税対策としても有効になることがあります。

建物を借主が建てる場合なら、オーナー側の初期投資も少なく、毎月の収入を得やすいのが利点です。賃料の交渉を上手に行えば、地代の改定も期待できるでしょう。

また、自分で土地を将来的に活用したい場合、定期借地権を設定して契約期間終了後に更地として返してもらうことも可能です。たとえば、今は使う予定がないけれど、子どもが大きくなったら家を建てる計画がある――そんな方には貸し出しによる収益と将来の活用が両立できる選択肢となります。

地主としての節税策や、土地を保持しておきたいという心理的安心感なども踏まえながら検討すると良いでしょう。

土地を貸すデメリット

土地を貸すときのデメリットとしては、契約期間中に地主の都合で土地を返してもらいにくい点が挙げられます。

借地借家法では、借主が強く保護されるため、正当事由がなければ契約の更新拒絶は難しいです。さらに賃料が相場よりも低く設定されていたり、更新時に更新料の取り決めをし忘れていたりすると、オーナー側の収益性が想像以上に低くなる可能性があります。

また、いざ土地を返してほしい場面が来ても、立ち退き料などの負担が大きくなるケースもあります。

もし契約書の内容が曖昧だった場合、裁判などに発展する恐れもあり、資産管理の手間や費用がかかる場合があるでしょう。

借地上に建てられた建物が老朽化しているときの対応や、相続発生後に共有者同士で意見が合わないときなど、負担は意外と複雑化しがちです。

税金・収益シミュレーション

土地の売却や賃貸を考える際、必ず意識しておきたいのが「税金と収益」のシミュレーションです。

たとえば売却であれば譲渡所得税や住民税などが絡みますし、賃貸であれば不動産所得としての所得税や、依然として地主として支払い続ける固定資産税を計算しなくてはなりません。

  • 実際、「売れば一時的に大金が入るけれど、かなりの税金が差し引かれ手取りは少なくなった」というケースも珍しくありません。
  • 一方で、貸していても、思った以上に賃料が低く固定資産税を差し引くと手残りはわずかだった――といった事例もよくあります。

結局のところ、数字をしっかり押さえることが重要なのです。

売却時の税負担と収益

土地を売却すると、譲渡所得税や住民税、復興特別所得税など、いわゆるキャピタルゲインに対する課税が発生します。

この税率は所有期間によって異なり、5年以内に売ると「短期譲渡所得扱い」で税率が高めになります。

一方、5年以上所有していれば「長期譲渡所得扱い」で税率が下がるので、売却タイミングを見計らうと手取りが増える可能性があります。

また、売却時には仲介手数料や測量費、登記費用などの諸経費も発生するため、あらかじめ計算しておかないと「予想していたよりも手元に残らなかった」ということになりがちです。

加えて、大きな利益が出た場合は翌年の住民税も増えますから、思わぬところで出費が増える点は注意が必要です。

賃貸時の税負担と収益

土地を貸す場合は、不動産所得として賃料収入が課税対象になります。

この際、固定資産税や管理費用などを経費として計上できますが、十分に差し引いても利益が少ない場合は、手残りが意外に小さくなることがあります。

また、契約形態によっては借地人が建物を建てるため、地主は建設費用を負担しない代わりに賃料も低めに設定されがちです。

さらに、定期借地権などの仕組みを活用しないと、更新のたびに更新料の交渉がうまくいかず、利回りを向上させにくいこともあるでしょう。しかし、土地を手放さずに所有し続けることで将来的な資産価値の上昇や相続税評価の軽減が期待できる側面もあります。

賃貸収益を真剣にシミュレーションするなら、地代相場や税率、将来の土地利用計画などを総合的に検討する必要があります。

具体例:相場3000万円の土地を売る場合・貸す場合

たとえば相場3000万円程度の土地を想定して、売却と賃貸それぞれの収益をざっくり試算すると、売却では譲渡所得税や仲介手数料を差し引いても数百万円単位の資金をすぐに手にできます。

一方、貸す場合は年間の地代が数十万円程度になるケースが多く、そこから固定資産税やメンテナンス費用を支払うと、実質的な手残りはかなり少なくなりがちです。ただ、もし地価が上昇している地域であれば、数年後に売却したときにさらに高い価格がつく可能性があります。

また、親族間売買や不動産会社との交渉を上手に行えば、借地整理をすることで底地と借地権をまとめて売却し、高額で売り抜けるパターンもあります。

つまり、土地の相場や将来性、そしてどれだけ長期で所有できるかによってシミュレーション結果は大きく変わります。まずは自分の状況を客観的に把握しながら、あまり希望的観測だけに頼らないで試算してみることが大事です。

借地借家法と定期借地権

土地を貸す際には、「借地借家法」という法律が大きく関係します。

これは、借主の権利を保護するために定められたもので、地主側が一方的に契約を打ち切ることを防ぐ仕組みです。旧借地法の時代には、いったん借地契約を結ぶと土地を返してもらうのが非常に難しい時代が続きましたが、1992年に施行された借地借家法では「定期借地権」が導入され、契約期間を区切って満了時に地主が確実に土地を取り戻すことが可能になりました。

とはいえ、普通借地権の契約が既に存在する場合は、契約更新が容易であり、立ち退きには正当事由と立ち退き料が必要など、地主側から見ると厄介な面も残ります。

旧借地法から借地借家法への変遷

旧借地法の時代には、借主を保護する仕組みが非常に強固で、地主が自分の土地を自由に扱うことが著しく制限されていました。

その結果、立ち退き交渉は難航し、裁判になっても地主側が不利になることが多かったのです。しかし、社会状況の変化や都市部の再開発需要の増大を受け、1992年に借地借家法が施行されました。

ここで定期借地権という制度が導入され、「契約で定めた期間が来れば土地を返す」という条件を盛り込めるようになったのです。旧借地法で成立した契約は現在でも継続中のものが多く、借主が建物を所有しているケースでは「法定更新」が働きやすいという特徴があります。

普通借地権と定期借地権のポイント

普通借地権は、契約期間終了後も更新が認められやすい仕組みで、借主が長く住み続けることを前提としています。

このため、地主側が自分で土地を使いたいと思っても、正当事由と立ち退き料が必要となるケースが多く、簡単には立ち退きを要求できません。

一方、定期借地権には「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」などいくつか種類がありますが、いずれも契約期間を決めて、それが終了すれば原則として契約を更新しないものです。

地主としては、

  • 「将来はここにビルを建てたい」
  • 「子どもの代で家を新築する計画がある」

というような場合に適しており、契約が終われば更地に戻すことが義務付けられるケースが多いです。

ただし、期間が50年などかなり長期になる場合もあるので、実際に活用する際は契約書の内容をしっかり確認し、どのタイプの借地権を選ぶか検討することが大切になります。

地主様向け:借地整理と親族間売買の視点

地主として長年にわたり土地を貸していると、いずれ「そろそろ土地を整理したい」「借地人との契約内容を見直したい」と感じることが増えてきます。特に相続の時期が近づくと、共有者が増えてしまったり、借地権が複雑化してしまったりといった問題が表面化しやすいです。

そこで重要になるのが「借地整理」の視点です。借地整理とは、地主側と借地人側の権利関係を整理し、場合によっては借地権を地主が買い取ったり、逆に底地を借地人に売却したりして、ひとつの所有権にまとめることを指します。

また、相続人が複数いる場合や、家族内で不動産を引き継ぎたい場合には「親族間売買」の方法が検討されることもあります。ただ、親族間で不動産を売買する場合は、税務署から厳しくチェックされる可能性があるため、正当な価格を証明できるように鑑定評価や専門家の意見を取り入れるのが望ましいです。

「兄の土地」に見る借地トラブル事例

借地トラブルの代表的な例として、親から相続した土地を兄弟のどちらかが単独で持っていたり、あるいは共有していたりするケースが挙げられます。

たとえば「兄が貸している土地の借地人が建物の建て替えを希望しているのに、契約書が古く更新料や承諾料の話がまったく進まない」という状況では、後々の相続や処分に支障が出ることが少なくありません。

また、兄弟間で「地主が自分の名義になっている」「でも借地整理の手続き方法がわからない」という状態が長引くと、借地人もどのように改築や増改築をすればいいか迷い、トラブルに発展しがちです。

2024年秋の買取強化

底地と借地権の価値を理解する重要性

「底地」とは、地主が持っている土地そのものの所有権を指し、「借地権」は、借主がその土地を使う権利を指します。

たとえ同じ一筆の土地でも、底地と借地権それぞれの価値が分かれていることがあるため、整理や売買をする際には鑑定評価のプロに依頼することが望ましいです。

一般的に、借地人が建物を所有している借地権のほうが利用価値が高いため、底地よりも評価が高くなることもしばしばあります。

地主側としては、自分が思っていたよりも底地の価値が低いと感じるかもしれませんが、法律的な保護や借地契約の現状を踏まえると、その評価は適正なものと言える場合が多いです。

もし地主が将来的に底地を売りたい、または借地人の借地権を買い取りたいというときは、適正な価格設定と税務対策の両面を見据えながら準備を進めることが成功のカギとなります。

終活・相続対策としての土地売却・賃貸

人生の終盤に近づくと、「自分の死後、家族が土地の処分や相続で困らないようにしておきたい」という気持ちが強まる方も多いでしょう。

いわゆる終活の一環として、不動産の整理や活用計画は非常に大事なテーマです。

長く所有していた土地は愛着がある反面、相続人が複数にわたると共有状態になり、管理や処分が難しくなることも考えられます。そこで、あらかじめ自分の意思で「売却して現金化する」「定期借地権にして収益を得つつ、将来は返してもらう」など、具体的な方針を立てておくと、残される家族が安心できるでしょう。

相続税の節税を重視するなら、賃貸という選択肢が有利になる場合もありますし、逆に維持コストを最小限にしたいなら、売却してしまうほうが得策かもしれません。

相続税対策としての賃貸活用

土地を賃貸に出すと、「貸家建付地」の扱いなどによって相続税評価額が下がる場合があります。

たとえば、自分が建物を建ててアパート経営をするのも一つの方法ですが、初期費用が大きいためリスクは伴います。

土地だけを貸す場合は、借地人のほうで建物を準備する形となるため、地主の負担は軽減されるものの、賃料収入はそれほど高くないかもしれません。それでも固定資産税の優遇や相続税の圧縮効果が見込めるケースもあるため、相続税が大きくかかりそうな方にとっては検討する価値があります。

不動産の共有を避けるメリット

相続が発生すると、親から受け継いだ土地が「共有」状態になることがあります。

兄弟や親族など複数の相続人がそれぞれの持分を持つ形です。共有状態のまま賃貸や売却を行うには、共有者全員の同意が必要となるため、意見が合わない場合は身動きが取れなくなる恐れがあります。

また、共有者のひとりが急な資金需要で持分を手放したくなっても、他の共有者が反対すると大きな問題になるなど、トラブルの火種になりやすいのです。そのため「生前に土地を売却して現金化しておく」「将来は定期借地にして引き上げ時期を決めておく」など、共有を回避する工夫をしておくと、相続が発生しても混乱を最小限に抑えられます。

家族が揉めないようにするためにも、早めの計画づくりが何より大切です。

不動産買取マスターの土地買取実績

土地を売るべき人・貸すべき人

土地を「売る」か「貸す」かは、最終的には所有者のライフスタイルや資金ニーズ、さらには相続や税金などの事情によって判断が異なります。

たとえば、すぐに現金が欲しい人や遠方の土地を管理しきれない人、あるいは将来的に地価が下落しそうな地域に土地を持っている人であれば、思い切って売却するほうが精神的にも経済的にも楽かもしれません。

一方、まだ活用の余地がある立地や、将来その土地を自分や子どもが使う計画がある場合は、賃貸に出しておきながら少しずつ地代収入を得るのも賢い選択です。

どちらにせよ、自分にとってのメリットとデメリット、そして将来の家族構成や資金需要を整理しながら結論を出しましょう。以下では「売る」「貸す」それぞれが向いている人の特徴をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

こんな人は「売る」べき

手元資金が必要だったり、早めに土地から解放されたい場合は、売却がオススメです。

特に、不動産市況が好調で売り時を逃したくないと思う方や、毎年の固定資産税が重荷に感じられる方は、売却で大きなメリットを得られるでしょう。また、地価が下落傾向にある地域の土地であれば、さらに値下がりする前に手放すほうが得策かもしれません。

相続人が少なく、生前に資産を現金化して分割しやすくしておきたい場合にも向いています。

加えて、親族間売買が成立するケースでは、不動産を手放しつつ身内に土地を残せるため安心ですが、適正価格での売買や税務面での手続きが重要になります。

こんな人は「貸す」べき

将来的に土地を利用する可能性が少しでもあるなら、貸すという選択肢が適しています。定期借地権を活用すれば、契約期間が満了すれば更地で返還してもらえるので、いずれ自分や子どもが家を建てたい場合などにも対応できます。

さらに、長期的に地代を得ることで安定収入を確保でき、相続税対策として評価額が下がる場合も期待できます。

家族構成の変化や将来の財産設計を踏まえて、「すぐに大金は要らないが、コツコツした収入がほしい」という方にはピッタリです。

ただし、借地借家法で借主が強く保護されている点は念頭に置き、更新料や承諾料の取り決めなどを契約書に明記しておくことが大切です。

まとめ

土地を「売る」か「貸す」かは、人によって結論が異なります。

すぐに資金が必要なら売却を選ぶメリットが大きいですし、将来的に土地を使うプランや相続税対策を重視するなら貸すほうが得策かもしれません。大切なのは、専門用語や法律の仕組みを正しく理解し、契約書や税金、将来の資産設計などを総合的に考えることです。

もし迷ったら、不動産の専門家に相談するのがおすすめです。大切な資産をどう扱うかで、あなたの将来や家族の暮らしが変わるのですから、じっくりと腰を据えて考え、納得のいく選択をしてください。

phone0120-111-439

受付時間 10:00-17:00(定休日:土日祝)

WEB査定24時間365日受付中

30秒で完了 WEB買取査定navigate_next