離婚したけど持ち家が売れない!不動産のプロが教える解決策

2025年4月18日 任意売却

離婚を考えているのに、自宅がなかなか売れず話し合いが進まないそんな悩みを抱えるご夫婦は少なくありません。

住宅ローンや共有名義といった壁を整理し、適切な戦略と専門家を選べば家は売却できます。

法的・金銭的な問題を放置すると買い手が見つかりにくく、市場での評価も下がるためです。

例えば、任意売却で残債ごと家を売る、価格を相場に合わせる、リースバックで住み続けながら売る――これらの方法で売却に成功したケースが多くあります。

原因を特定し、最適な方法を選ぶことで離婚後の生活設計をスムーズに進められます。

離婚で家が売れない主な理由

離婚を決めた瞬間から「早く家を手放して前に進みたい」と感じる人は多いものです。

しかし実際には、住宅ローンや名義の問題、買主探しの苦戦など思わぬ障害が次々に現れ、売却が滞って離婚協議そのものがストップするケースが少なくありません。

たとえば「査定額を上回るオーバーローン」や「共有持分のある配偶者が連絡不通」など法律とお金の問題が絡むと専門用語も飛び交い、一人では手に負えません。ここで原因を掴み、後に紹介する対策を効果的に実践しましょう。

1.住宅ローン残債がある

住宅ローンが残っていると抵当権が付いたままのため、金融機関の同意なく家を売ることはできません。

残債が売却価格を超える「オーバーローン」状態では、差額を自己資金で埋めるか任意売却に持ち込むしか選択肢がなくなります。

銀行は資金計画の実現性を厳しくチェックするため、数字を読み違えると承認が下りず振り出しに戻ることも。

まるで出口のない迷路に迷い込んだような閉塞感ですが、原因を知れば突破口は見えます。

2.共有名義と合意形成の問題

夫婦で購入した家の多くは共有名義です。

共有名義では登記簿に記載された全員が売買契約書に署名押印しなければ売却が成立しません。

感情的にこじれた離婚協議中は「連絡を取りたくない」「署名したくない」といった心理的抵抗が起こりやすく、そのまま売却がストップしがちです。

さらに連帯債務や連帯保証が絡むと、名義変更だけでは済まず「債務引受契約」や「代替担保」の手続きも必要になります。

3.価格設定が相場とかけ離れている

離婚が絡むと「早く現金化したい」「思い出の家を安売りしたくない」と感情が揺れやすく、査定額より高値または極端な値下げになることがあります。

価格がズレたまま長期掲載するとポータルサイト上で「売れ残り物件」の烙印を押され、買主はさらに値引きを要求します。

まるでスーパーの半額シールを待つ客の心理と同じです。適正価格を外すと時間もお金も失ってしまいます。

4.物件状態・内見対応の課題

築年数が浅い家でも、家具が散らかったままやクロスの傷が目立つだけで第一印象は大きく低下します。

離婚協議中は片付けに手が回らず「片方が退去し空室、もう片方は生活感が残る」アンバランスな状態も多々あります。

内見日時の調整で元配偶者と連絡を取るのが億劫になり、問い合わせを断ってしまう例も。

住宅は「目で恋をして心で決める」商品です。モデルルームのような清潔感を演出できなければ購入意欲は高まりません。

5.心理的瑕疵や離婚イメージによる敬遠

買主は物件を見たとき、その家の「背景」まで想像します。

離婚理由で売りに出された家は「トラブルがあるのでは」と警戒されがちです。

日本では事故物件だけでなく、ネガティブなストーリーも価格交渉に影響を及ぼす「心理的瑕疵」として扱われます。

広告に理由を書く義務はありませんが、仲介担当が内見客に聞かれた際に前向きな説明ができるよう準備しておくと安心です。

「売りに出せない」ケースと「売り出し中でも売れない」ケース

家が売れないといっても、大きく分けると

  • ①広告すら出せない状態
  • ②広告は出したが成約に至らない状態

の二つがあります。

前者は法的・金融的な制限で足が止まり、後者はマーケティング戦略の失敗が主因です。

自分がどちらに当てはまるかを正確に見極めることで、必要な専門家や手続きを最短で選択できます。

まるで診療科を間違えると治療が遠回りになる病院選びと同じ。本章では両ケースの典型的なトラブルを深掘りします。

売りに出せない:ローン滞納・差押えのリスク

住宅ローンを3カ月滞納すると金融機関は「期限の利益の喪失」を通知し、一括返済を求めます。

保証会社が代位弁済すると債権はサービサーへ移り、最終的に競売開始決定が下る流れです。

差押え登記が入るとポータルサイトで検索する買主は「わけあり物件」と判断し問い合わせが激減します。

遅延損害金も加算され負債が雪だるま式に膨らむため、早期に専門家へ相談することが必須です。

売り出し中でも売れない:販売戦略の失敗例

広告を出しているのに問い合わせが少ない場合、多くは「情報発信の質と量」が不足しています。

写真枚数が少ない、夜間撮影で暗い、周辺環境を伝えない説明文では反響は得られません。

販売開始から3週間反響がない場合は価格と写真を見直すのが業界のセオリーです。

家が売れないときの具体的な対処法

「住宅ローンが重い」「買主が付かない」「住み続けたい」など状況はさまざまですが、実務で用いられる解決メニューは意外とシンプルに整理できます。

任意売却の仕組みと手続き

任意売却は競売開始前に債権者の合意を得て市場価格で家を売る手続きです。

メリットは「競売より高く売れる」「引越し費用を確保しやすい」「近隣に事情を知られにくい」点。

一方、買主が見つかるまで返済は続くため時間との戦いになります。

手続きは①債権者交渉②査定・媒介契約③販売活動④契約・決済・抵当権抹消の4ステップで進みます。

住宅ローン借り換え・一括返済プラン

残債が査定額をわずかに上回る程度なら、低金利ローンに借り換えて毎月返済額を軽減し、家計を立て直してから売る方法があります。

退職金や親族の贈与で一括返済して抵当権を外し、相場価格で売却する「リファイナンス+売却」スキームも有効です。

ただし借り換え審査には安定収入が求められ、贈与の場合は年間110万円を超えると贈与税が発生します。

販売価格の再査定と値下げ戦略

相場より高く設定したままでは時間だけが過ぎます。

再査定は複数社に依頼し「机上査定」「訪問査定」「AI査定」を比較するのがコツ。値幅の目安は3~5%刻みです。

心理的価格帯を切り替える例として3,080万円→2,980万円への変更は問い合わせを倍増させることがあります。

値下げ後は「新着」扱いで検索上位に再表示されることも期待できます。

リースバックで住み続けながら売却

リースバックは専門業者が家を購入し、売主が賃借人として住み続ける仕組みです。

売却益でローンを完済し、家賃として市場家賃の7~10%程度を支払います。

将来買い戻しオプションを付けられる契約もあり、離婚後に子どもの学区を変えたくない場合などに重宝します。

ただし買い戻し価格は売却価格+経費+利息となるため長期プランが必要です。

「リースバックはやめたほうがいい!」は本当なの?

離婚と家の売却タイミングで注意すべき税金・法律

売却手段が決まっても税務と法律の落とし穴を見逃すと手取りが大幅に減ることがあります。

特に離婚に伴う財産分与や譲渡所得税の扱いは複雑で、国税庁通達や民法改正のたびに細かく更新されています。

不動産売却における司法書士費用の真実

財産分与と譲渡所得税の基礎

婚姻期間中に築いた夫婦共有財産は50%ずつ分けるのが原則です。

家を売却すると譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡経費が計算され、所有期間5年超なら長期譲渡所得税(20.315%)が課税されます。

離婚による財産分与で家を移転するだけなら非課税ですが、住宅ローン完済や名義変更費用は贈与とみなされる恐れがあります。

離婚前に売るメリット・デメリット

離婚前に売却すれば売却代金を夫婦で按分し現金で財産分与できるため、その後の関係を断ちやすいメリットがあります。

一方、感情的対立が強いと内見調整が進まず停滞するリスクが高いほか、片方が転居費用を先取りすると揉めやすいデメリットもあります。

離婚後に売るメリット・デメリット

離婚後に落ち着いてから売却すれば市場が活発なシーズンを狙えるメリットがあります。

単独名義に変更しておけば値付けもスピーディーです。ただしローン名義が残ると元配偶者の返済遅延が信用情報に影響するリスクがあるほか、売却益を分ける場合は贈与税の対象になる点に注意が必要です。

どうしても売れない場合の代替策

最後まで買主が現れなくても諦める必要はありません。

不動産は「利用」と「保有」で価値を生み出せる資産です。この章では売却以外で家を活用しキャッシュを得る方法を紹介します。

リバースモーゲージや家族信託など専門家領域の制度も取り上げるので、選択肢を増やすヒントにしてください。

「リースバックはやめたほうがいい!」は本当なの?

賃貸運用で収益化する

賃貸に転用すれば月々の家賃収入でローン返済や生活費を賄えます。

サブリース会社に一括借上げして空室リスクを避ける方法、短期賃貸で高利回りを狙う方法など複数モデルがあります。

固定資産税や修繕費を加味した実質利回りをシミュレーションし、市場家賃との差を把握することが成功の鍵です。

空き家管理と市場回復を待つ

市況が悪く希望価格で売れない場合、空き家管理サービスを利用して保有し続ける選択もあります。

月5,000円前後で通風・簡易清掃・郵便転送を依頼でき、倒壊や景観悪化による行政代執行を回避できます。

人口増加が見込める再開発エリアでは数年で地価が上昇するケースもあるため、長期保有で値上がり益を狙う戦略も有効です。

家族信託や共有名義解消スキーム

家族信託を活用すると名義を移さずに管理・処分権限を受託者に委任でき、将来認知症リスクが高まっても柔軟に売却・賃貸が可能です。

離婚後に子どもと共有名義の場合、信託契約で議決権を一本化できるメリットがあります。

また「共有物分割訴訟」や「持分買取サービス」で持分を整理し、単独名義に変えてから全体売却へ進む方法もあります。

まとめ

離婚で家が売れない原因はローン・名義・価格・印象の四つ。

状況を正しく診断し、任意売却・価格見直し・リースバック・賃貸運用など最適な策を専門家と選べば必ず活路が開けます。

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