賢い高齢者はやってる老後の持ち家を任意売却

2025年4月16日 任意売却

老後に持ち家を任意売却して、まとまった資金を確保しながら身軽に暮らすことは、有効な選択肢です。

なぜなら、年金だけでは住宅ローンの残債や固定資産税、修繕費などが重くのしかかり、「住むだけで赤字」になる恐れがあるからです。

例えば、不動産買取マスターの過去のお客様70歳のAさんは任意売却で残債を300万円圧縮し、駅近のバリアフリー賃貸へ住み替えた結果、毎月の支出を3万円削減し、通院も徒歩圏内で完結できるようになりました。

だからこそ、迷ったら早めに専門家へ相談し、老後のお金と住まいを同時に整えることが大切です。

老後に任意売却を検討する主な理由

65歳を過ぎてから住宅ローンの支払いが重荷になると、毎月の生活費を切り詰めても赤字が膨らみます。

任意売却は、競売に追い込まれる前に金融機関と合意を得て家を売却し、残債を整理できる制度です。

「アンダーウォーター状態(売却額よりローン残高が大きい状況)」でも交渉次第で残債を軽減できるため、老後資金にゆとりが生まれます。

ここでは、任意売却を検討する代表的な3つの理由を深掘りし、なぜ「早期相談」が重要なのかを丁寧に解説します。

住宅ローンが残っていても自宅の売却は十分に可能

年金収入と住宅ローン返済のギャップ

定年後の家計は公的年金が柱になりますが、国土交通省の調査では、60代の平均ローン残高は約820万円と言われています。

年金だけで返済を続けると、食費や医療費が圧迫され「生活不安指数」が急上昇するのが現実です。

そこで任意売却を選ぶと、月々の返済と固定資産税を同時にリセットでき、生活再建が早まります。

  • ・年金月額15万円では返済と生活費の両立が難しい
  • ・繰上返済資金がない人ほど「アンダーウォーター」になりやすい
  • ・任意売却で残債を分割払いに移行する例もあり安心感が高い

例えば、70歳のBさんは毎月6万円のローン返済で赤字が続いていましたが、任意売却により残債を2万円の分割払いに圧縮でき、生活費を確保できました。

維持費・固定資産税などランニングコストの増加

築20年以上の戸建ては、屋根や外壁の修繕サイクルに入りやすく、一度の工事で100万円単位が必要です。

固定資産税や都市計画税も年々評価替えで増減し、一概に下がるとは限りません。

任意売却で早期に住み替えれば、こうしたランニングコストを先回りして削減できます。

  • ・外壁塗装は10年ごとに約120万円が目安
  • ・固定資産税評価が下がらない「市街化区域」のケースも多い
  • ・空き家になると特定空家認定で税率が上がるリスク

例として、築30年の木造住宅に住むCさんは、雨漏り修繕に150万円かかる前に任意売却を実施。維持費負担ゼロで賃貸へ移り、結果的に医療費に備える余力ができました。

生活動線・医療アクセスを考慮した住み替えニーズ

老後は足腰が弱まり、自宅内の段差や階段が事故リスクになります。また、透析やリハビリなど通院頻度が高まると、駅や病院の近さが命綱です。

任意売却を活用してバリアフリー賃貸やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)へ移ることで、日常の安全と医療アクセスを一挙に確保できます。

  • ・徒歩5分圏内に病院・スーパーがあると転倒リスクと買い物負担を同時に軽減
  • ・バリアフリー設計の賃貸なら改修費ゼロで安全確保
  • ・持ち家を資産化して介護付有料老人ホームの入居金に充当する事例も

不動産買取マスターの過去のお客様のDさん夫妻は、駅前に転居し、通院時間が往復2時間→30分に短縮。体力温存で趣味の将棋を再開できました。

老後に家を任意売却するメリット

任意売却の最大の魅力は「競売より高値で売れる可能性が高い」ことです。

競売は公開入札で相場の6~7割まで落ち込むことが一般的ですが、任意売却なら相場に近い価格で一般市場に流通させられます。

ここでは3つの具体的メリットを、金融実務経験者が使う専門用語も交えて解説します。

任意売却ができない7つの代表的なケース

競売より高い価格で売却できる可能性

任意売却はレインズ(不動産流通標準情報システム)に登録して広く買い手を募れるため、市場価格に近い「マーケットバリュー」で成約しやすいのが特長です。

  • ・競売落札額は路線価の6割前後が平均
  • ・任意売却なら外観・内覧が可能で買い手の安心感アップ
  • ・売却後の残債が少なくなるほど再スタートが軽くなる

例えば、査定価格2,000万円の戸建ては競売だと1,200万円で落札されがちですが、任意売却なら1,700万円で成約し、差額500万円が残債圧縮に直結します。

残債の減免交渉がしやすい

金融機関は任意売却後の残債を一括請求できますが、実務では「債務免除」「リスケジュール(一部カット+長期分割)」が認められるケースが多いです。

  • ・残債免除額は100万~300万円規模も珍しくない
  • ・減額交渉は「債務整理委任契約」で弁護士が代行すると成功率アップ
  • ・生活保護水準の家計予算表を提出すると合理的と判断されやすい

例として、Eさんは残債420万円を120万円に圧縮し、毎月1万円の無利息返済で和解。年金でも無理なく完済予定です。

信用情報への影響を最小限に抑えられ

競売や長期延滞は「異動情報」として信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に5~10年登録されます。

任意売却でも延滞状態が続くと登録は免れませんが、競売ほどマイナス評価は大きくありません。

  • ・競売は「代位弁済」履歴も併記され、住宅ローン審査に不利
  • ・任意売却後に債権者と和解すれば、クレジットカード復活が早まる
  • ・遅延損害金をカットできると信用回復までの期間も短縮

不動産買取マスターの過去のお客様であるFさんは延滞4カ月で任意売却を実施。和解後5年で新たなクレジットカード審査に通過しました。

老後に家を任意売却するデメリット・リスク

メリットがある一方、任意売却には精神的ストレスや費用負担といったリスクも存在します。

売却完了までの手続き負担と精神的ストレス

任意売却には「抵当権抹消同意書」「担保解除承諾書」など専門書類が多く、交渉も長期化しがちです。

精神的な消耗を避けるには専門家の伴走が不可欠です。

  • ・金融機関との面談が2~3回、書類作成は10枚以上
  • ・買い手候補の内覧調整でプライバシーは一時的に低下
  • ・交渉決裂時は競売移行リスクもある

Gさんという過去のお客様は独力で進めた結果、書類不備で再提出を繰り返し心労が増大。途中から司法書士に依頼しスムーズに完了しました。

引っ越し先確保のハードルと家賃負担

高齢者は賃貸審査で「家賃滞納・孤独死リスク」を理由に断られることがあります。

任意売却前に住み替え先を確保し、保証会社や見守りサービスを活用すると承認率が上がります。

  • ・連帯保証人が取れない場合は「家賃債務保証会社」が鍵
  • ・見守り付きサービスを契約するとオーナーの心理的ハードルが下がる
  • ・家賃は年金手取りの30%以内が目安(家計調整余地確保)

過去の不動産買取マスターをご利用していただいたHさんは家賃債務保証会社を利用し、年金月額18万円で家賃5万円の賃貸に入居。安心して売却手続きを進められました。

売却益が想定より少ないケースへの備え

築年数が経過し立地が悪い物件は、査定額が急落しやすいです。

複数社査定で「担保評価額の下限」を把握し、資金繰り計画を立てることが重要です。

任意売却の具体的な流れと必要書類

任意売却は大まかに①金融機関相談→②媒介契約→③売却活動→④引渡し・残債処理の4ステップです。

各段階で必要な書類やスケジュールを把握し、手戻りを防ぎましょう。

金融機関への相談と媒介契約

まずは借入先金融機関へ「任意売却の意思」を伝え、同意を得ることが最重要です。

次に、不動産会社と専任媒介契約を結び売却活動を委託します。

金融機関に返済相談シートを提出し、任意売却の同意書を取得後、競売取り下げ猶予期間を確保します。

査定・価格調整と債権者同意取得

査定後に売出価格を設定し、価格調整を重ねて買付証明書を受領します。

同時に債権者(銀行・保証会社)の同意を取り付けます。

保証会社の同意取得に最短で行うようにします。

売買契約から残債処理までのスケジュール

売買契約締結後に決済・引渡しを行い、売却代金から諸費用とローン残債を精算します。

残債が残る場合は和解契約を締結します。

  • ・決済日は金融機関・司法書士・買主が同席し、一括振込が原則
  • ・抵当権抹消登記に必要な書類:登記原因証明情報、委任状
  • ・残債は「無担保ローン契約」に切り替わり、月々の返済額を確定

息分割返済などの提案で和解し、完済計画を立てたりします。

任意売却後の住まい選びと生活設計

任意売却が終わったら、その後の住まいと生活設計が重要です。

ここでは高齢でも入居しやすい賃貸確保のポイントや、サ高住・老人ホームの活用法を紹介します。

賃貸住宅を借りる際の高齢者審査対策

高齢者が賃貸審査を通過するコツは、家賃保証会社の利用、緊急連絡先の複数設定、見守りサービス加入です。

  • ・家賃保証料は家賃の30~50%が目安(初回のみ)
  • ・緊急連絡先に子供+第三者(行政担当者)を設定すると安心感アップ
  • ・見守りサービス(月1,000円程度)で孤独死リスクを軽減

見守りセンサー付き賃貸に入居し、オーナーの不安を解消して契約に成功したパターンもあります。

高齢者向け住宅・サービス付き高齢者住宅の活用――“バリアフリー”で暮らしやすさ確保

サ高住はバリアフリー設計と24時間スタッフ常駐が魅力で、身体機能が低下しても安心です。

入居一時金0円物件も増えています。

要介護1認定後、サ高住に転居し、デイサービス利用が週1→週3に増え身体機能が維持するというパターンもあります。

生活圏・医療機関へのアクセスを重視するポイント

スーパー・クリニック・バス停が徒歩10分圏内にあるかで生活満足度は大きく変わります。

引越し先の周辺環境は必ず昼と夜で確認しましょう。

  • ・徒歩5分圏内に内科・整形外科があると通院ストレス激減
  • ・バス停の便数は平日・休日で差がないかチェック
  • ・夜間の街灯・防犯カメラ設置状況も安全面で重要

この辺は特にう重要な項目です。

売却以外の選択肢と比較検討――“本当に手放すべき?”を再確認

任意売却の前に、リフォーム・リースバック・リバースモーゲージを比較すると、最適解が見えることがあります。

専門家は「デッドオアリペア(売却か改修か)」という視点で助言します。

「リースバックはやめたほうがいい!」は本当なの?

バリアフリー対応リフォームで住み続け

手すり設置や段差解消の部分リフォームなら50万円前後で済む場合があります。

介護保険の住宅改修費支給(上限20万円)を活用すれば負担が軽くなります。

  • ・介護保険改修費は9割給付、自己負担1割
  • ・住宅性能向上リフォーム減税で所得税控除あり
  • ・耐震補強と同時施工すると補助金が増額される自治体も

少額のリフォームで車いす生活に対応し、住み慣れた地域に残れたといった体験談も耳にしたことがあります。

リースバックで売却後も住み慣れた家に賃貸で住む――“同じ家、違う形”の住まい方

リースバックは家を売却し、買主(不動産会社)と賃貸契約を結ぶスキームです。

まとまった資金を得つつ、転居せず暮らしを維持できます。

  • ・家賃は売却価格の6~10%/年が相場
  • ・再買戻し特約を付ければ将来再取得も可能
  • ・固定資産税・修繕費はオーナー負担に移行

例えば、2,000万円で売却し家賃12万円で継続居住するといった内容。これで医療費に資金を充当することができたりします。

「リースバックはやめたほうがいい!」は本当なの?

リバースモーゲージで家を担保に資金調達

リバースモーゲージは不動産を担保に融資を受け、利息のみ返済するしくみで、契約者死亡時に家を売却して元本を清算します。

・融資上限は評価額の50~70%が目安
・変動金利型が多く、金利上昇リスクに注意
・長寿リスクに備え、融資期間無期限商品を選択

例えば、2,500万円の評価額に対し1,250万円を借入れ、年金不足分を補填するといった内容になります。

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まとめ

任意売却は「老後資金の確保」と「住まいの安心」を同時に実現する選択肢ですが、手続きやリスクを理解し、早めに動くことが成功のカギです。家族・専門家と連携し、自分に最適な形で第二の人生をスタートさせましょう。